モントリオール

ちょうど30年前の今頃、モントリオールの語学学校でフランス語文法の勉強を終え、コンコード大学で英語の勉強をしていた。

 

フランス語習得のためにモントリオールへ行ったのだが、フランスへ行く予定なら会話は学んではいけないと言われた。今のようにインターネットなどない時代だから、学校探しも留学の手続きも時間をかけて念入りにしたつもりだったが、カナダのケベクワ(ケベック州のフランス語)とフランスでのフランス語は相当かけ離れているらしいと知ったのは現地についてからだった。

社会人になってからの留学だったし、大学で語学を専攻したわけでもなかったので情報不足だったのは否めない。

 

仕方なくフランス語は文法だけを学ぶことにして、日常は英語で生活することになった。英語も何とかわかるけれど話せるレベルではなかった。幸いなことにフランス語クラスにいるのはイングリッシュスピーカーばかりだったから、クラスメートが私の英語力アップに貢献してくれた。

訛りの強い初老のカナダ人からフランスやモロッコ出身の先生、中には在日経験があって日本人女性と結婚しているモントリオール出身の先生もいた。

 

さすがに英語とフランス語が公用語の国カナダ、モントリオールでは2つの言語が飛び交い、語学に関心があるから複数の原語を話せる人がたくさんいたし、世界中から人が集まっていた。

大学ではコロンビア、ベネズエラ、エジプトやクウェートのクラスメートもいて、遠くに感じていた中南米や中東も身近に感じるようになった。

 

このときの留学で初めて自分が日本のことを知っているようで、人に説明できるほどには何も知らなかったのだと気付いた。